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【創作小話】猫の夢

闘技場のメンバー募集文の文字数を埋めてみようと躍起になった結果、
創作小話だけで400文字埋めてしまいかけたので一部ばっさりと切りました。
折角なので全文こっちに載せておいてみます。

お題(咄嗟に思いつかなかったので友人に強請った迷惑な人)
ゆめ まど じてんしゃ ほうちょう たんす なまくび ねこ こびと のっぺらぼう

自転車と小人は入りませんでしたちくせう。

※ぬるいですがホラー風味注意。

彼はその窓の前で立ち止まった。
雨の日は億劫でやらないけれど、毎日の散歩のその途中。
いつもいつも、じっと見詰める視線に留められる。
視線の気配を追って窓の向こうを見下ろせば、常と変わらない光景が彼を待っている。
机に椅子に箪笥にと、人が生活するよくある空間。
その中にぽつりと居る、其。
部屋の片隅の箪笥の上で身動きひとつせずに此方を見詰めている。

まあるいようで歪な球。
ざらりと長い毛が球の半分を覆い、けれど此方を向く部分には何もない。
何もない、が、そこから感じるのだ。射抜くようなその視線を。


――ぱかり、と彼は目を開いた。
陽光の元に体を伸ばし、乱れたあちこちを整える。
さあ、今日も散歩に行こう。食事の調達もしなければならない。
軽やかに彼は、石土に硬くなった肉球で歩き出した。


彼は知らない。
その部屋の中に転がる刃を零した調理器具のことを。

彼は知らない。
その部屋が赤く紅く染まっていたことを。

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